アトラス・オーソゴナルの世界 Vol.17「ガンジスから日本へ」

The Road to Atlas Orthogonist  Vol.17

ガンジスから日本へ

新たな人生の節目である帰国は、1990年「大晦日」に渡米したこともあり、「元旦」にしようとパーマー大学卒業が近付いた頃から決めていました。
そして学生時代の締めくくりとして臨床に入る前に、帰国前にどうしても訪問したい土地を巡る旅の計画を立てました。
それまでにアメリカ合衆国やヨーロッパ各地の臨床を見学したり、ハイチでのボランティアも経験しましたが、今後は世界各地を訪問するチャンスは少ない、まだ見逃していることが多々有る、との思いからの実行でした。
そこで、アメリカ生活には必要不可欠であった自動車を売却し、帰国前の総仕上げの行脚の資金にあてました。

先ず、パーマー入学当初から、共に上部頚椎を志し学んだ友人が開業しているコスタリカへ。次には、南米エクアドルのアマゾン川上流で現地インディオの実生活を経験してから、インドへ向かいました。
後になって知ったのですが、この時既にDr.Royから研修後日本で私を受け入れてくれる医師に、手紙が送ってありました。
旅行のエピソードを話せばきりがありませんが、特にインド訪問は私にとって衝撃的で、その後の人生に大きな影響を与えるものでした。

留学して最初にできた友人はインド人でした。彼を介して始めたヨガの修行とアーユルベーダに興味を持っていたので、本場インドのヨガ道場でヨガ三昧の日々を過ごすことにしました。
インドで最初に訪れたのは、ハタヨガの聖地と言われるガンジス川上流のリシケシで、ヨガ道場に滞在、夜明け前の起床から本場のヨガにどっぷり浸かりました。それまで過ごしたアメリカの合理主義社会とは正反対の価値観の生活でした。

ヨガ道場で1ヶ月ほど経ったある日、釈尊悟りの地ブッタガヤでダライ・ラマ法王の説法が開催されると聞き、数日かけて電車やバスを乗り継いで彼の地に向かいました。
説法参加者の殆どは、インド各地に亡命しているチベット僧ですが、玉座の足元に一部外国人用の場所が設けてあり、ダライ・ラマ法王の説法を約1週間拝聴することができました。
ブッダガヤでの滞在は台湾系寺院の宿坊で、余談になりますが、そこで頂いた中華精進料理は幾分カレーに飽きていた私には格別の美味しさでした。

法王の説法はラジオを通して英訳され、英語圏からの参加者の仲間と一緒に耳を傾けました。
そこで拝聴した内容は簡素にして大胆でした。単身留学し得た知識と技術、何よりも経験を分かち合う必要性を改めて実感し、帰国の決意を固め、ガンジス川最大の聖地バラナシを訪れた後、大晦日にデリー空港を発ち帰国の途に就きました。

 

Vol.18へ続く

 

~今日の1枚~

ガンジス川最大の聖地バラナシ、朝の沐浴風景。ミシシッピ川から始まった旅はアマゾン川を経て印度ガンジス川へ、そして東京の江戸川へと向かいます。

 

記:井上裕之

2020-11-12 | Posted in AOの世界No Comments » 

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